Express Route従量制プランのススメ

Office 365やAzureとインターネットを経由せずに接続できる Express Route ですが、料金プランは無制限データプランを選ばれてますか? それとも従量制課金データプランですか?

私の知っているユーザーですと、9割以上が無制限データプランを選択されているように感じます。主な理由としては「従量制だと料金がいくら課金されるか分からないし、試算するにも実際にどれくらいデータ転送量が分からない」「毎月課金がぶれると予算措置をするのが大変」というケースがほとんどです。

ただ、敢えて私は個人的に従量制プランの方を強くお勧めさせて頂きます。理由は主に以下の3つからです。

1.使ってみると、単純に従量制の方が圧倒的に安くなる(ことが多い)

もちろん、アプリケーションの種類や使い方、ユーザーの就労形態によってブレはあると思うのですが、概ねユーザートラフィックの平日における波形は以下に近似します。青がダウンロード【課金】、赤がアップロード【非課金】のトラフィックとなります(Exchange Client Network Bandwidth Calculatorより)

この時、最頻時の10時台のトラフィックを100%とすると、1日の平均トラフィックは約31%程度になります。また、これは平日の波形になりますので、働いている人が少ない休日に関しては日中帯トラフィックは限りなく0に近づく形となります。

日本企業の平均の年間休日は120と言われていますので、1年365日中の120日は平均が多く見積もっても10%以下の利用となり、年平均では (245*31+120*10)/365 で24%程度に落ち着きます。

さて、ではExpress Routeでは平均でどれくらいの帯域を利用すれば得になるのでしょうか。日本の場合はゾーン2の区分になるので、下り方向のトラフィックに 5.6円/GB の従量課金となります。

この為、帯域毎の無制限データプランがオトクになる利用率は以下の表の通りになります。

帯域幅最大伝送量(GB)損益分岐(GB)利用率
50Mbps16,34811,00068%
100Mbps32,69522,60069%
200Mbps65,39143,10066%
500Mbps163,47798,20060%
1Gbps326,953165,28051%

帯域が大きいほど損益分岐の割合が下がる傾向にありますが、それでも51%です。仮に、従量制で30%の利用率(上記の通り、これでも想定をかなり超える利用量ですが)だったとして、以下の違いが出ます。

1Gbps従量制:598,113 (48,832+5.6*326,953*30%) / 1Gbps無制限:974,400

これだけ差が出ると、余った予算で一つ上の回線帯域に変更したり、BCP対策でDRサイト側(西日本)にもゲートウェイ作ったりなど色々できますね。

2.平均利用率が無制限を超えるような環境は、そもそも帯域設計が間違い

それでも、想定より多くのトラフィックが出た場合に無制限プランを大きく超えるような課金になってしまうという懸念ですが、それは杞憂です。

そもそもそんなに常時帯域が出るような環境の場合、帯域設計が誤っており回線帯域が足りていません。

そんな状態ですと回線が一杯で、ユーザー影響が出て使い物にならないような状態になっている可能性が非常に高く、従量制にせよ無制限にせよ、より上のプランを選択する必要があります。

3.無制限データプラン、使ってみると全然月額定額じゃない

サイトを見ると、Express Routeの無制限データプランの料金は月額いくらという記載しかないですし、月額固定に見えます。

ただ、実際に使ってみると毎月の請求額がブレます。理由は主に3つあります。

  • 月額は変わらないが、実際は毎日の利用量が 0.03225816 ずつ消費されていき、31暦日ある月だとほぼ1(0.03225816 * 31 = 1.00000296)になるが、30暦日の月は0.97程度の消費となる。※注:この値は度々変わります
  • 課金システム上の問題か、上記ロジックで1を若干オーバーしている補正のためか、必ず月に1日以上消費量が上記より若干少ない日が出る。何日なのか、数値はなどは不定
  • 課金の締めの最終日の課金は24時間分フルには行われず、翌月の請求に回ることがある。回らないこともあれば、10時間分翌月に回ることもある。何時間分回るかは不定

Azure Chinaのサイトなどには *Monthly price estimates are based on 744 hours of usage per month. などと注記があるのですが、Azureグローバル側には説明ありません。

おそらく、Express Route は月の途中で増速したり従量制から無制限へのプラン変更がオンラインでできるので、その日割処理を実施するために課金システム上は月額ではなく分課金/時間課金に近いような仕組みで実装されているのだとは思いますが、ちょっと分かりづらいですね。

結論:大部分の環境では従量制が良い

ただ、どうしても心配な場合は一度従量制で開通させて転送量をウォッチしましょう。日の平均利用が0.7など非常に大きく、土日や夜間もかなり多くのトラフィックが発生しているような環境と判断したら無制限に変更しましょう。

従量制から無制限へはオンラインで変更できますが、逆はできない(廃止新設処理)ですので、最初だけは従量制でやっても遅くは無いと思います。

One thought on “Express Route従量制プランのススメ

  1. 社員1,000人弱の会社で社内システムサーバー(ファイルサーバーも含む)をIaasで利用してますが、月の通信量は2TBを下回る程度で、従量制で安く使えてます。

    Azure移行前、NW管理をお願いしている業者にオンプレサーバーがあるDCとの通信量を計測してもらったので、初めから従量制を選んで運用開始出来ました。

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